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金牛国―― Taurus 背後の山脈から流れる大河が形作った広大な平原を領地とし、内陸に位置するため気温自体は若干低めとはいえ気候も安定した大陸随一の穀倉地帯。 絶えず豊かな土壌が網目のように巡る大河の支流へと提供されるため、降雨量は少ないながらも乾燥や連作障害といった農業的リスクには縁が無い。 山脈、大河、渓谷という自然要塞に阻まれ侵攻に対しての守りは堅牢であり、侵略戦争に対して大きな敗北を喫したことはない。 交易などに頼らずとも十分に生活が可能であり、また地理条件上、他国との外交や通商なども自ら積極的に行おうとはしないようである。 一家族単位が広い農地を必要とする麦作が主であるためか、水稲耕作を行う蟹国とは逆に集落においては精神的結束よりもどちらかと言うと現実的なギブ&テイク精神を重視する社会が成り立った。 耕地そのものは分割されず家督と共に末子を嫡子として相続されてゆくが、同時に分配可能資源である畜産も行っているため財産分与の観点から言っても総合すればあまり不満が出ない形となっている。 王統においてもそれは同じであり、将や官として先に独立した兄弟が末子の王を補佐するというシステムが作られてきたが、同時にそれは保守的でいささか頑迷な国家構造を生んだ。 |
